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もっと知りたい!免疫と納豆菌の関係 S-903 納豆菌コラム

10月(October)Vol.7 食欲の秋! 納豆博士が語る驚きの納豆パワー

骨にも肌にも!? 発酵で生み出される、女性にうれしい健康成分

秋は季節の変わり目で体調管理が難しい時期ですが、美味しいものが多く、食べすぎも心配ですよね。そんなときにおすすめなのが「納豆」です。

納豆には、これからの時期にも大切な健康成分がたくさん含まれています。例えば、発酵の過程で新たに生まれる「ビタミンK2」は、カルシウムと一緒に摂ることで、女性が気になる骨粗しょう症の予防や骨の強化に役立ちます。秋の行楽シーズンにも積極的に摂りたい栄養素ですね。納豆の代表的な成分「ナットウキナーゼ」は血栓溶解作用が期待されているので、寒暖差が大きくなる季節に備えて摂取すると良いでしょう。その他にも、抗酸化作用により肌を若々しく保つ「ビタミンE」、脂肪をエネルギーに分解することから、ダイエットにも役立つ「ビタミンB1やB2など。さらに現代人に不足しがちな「食物繊維」も豊富で、便通を改善し内からキレイになることが期待できます。

成分表

大豆はもともと良質なタンパク質ですが、未発酵状態の大豆(又は煮豆)だと、体内に入っても60~70%しか消化されません。しかし、納豆菌によって発酵し「納豆」になると、90%以上が消化吸収されます。
これらの健康成分が効率的に摂取できるので、まさに、納豆は″最高の健康食″といえるかもしれません。

食欲の秋、健康効果を高める摂り入れ方とは

食べ方を工夫することで、相乗効果を得られることもわかっています。例えば、「のり」には牛乳の約4倍のカルシウムがあり、納豆に含まれる「ビタミンK2」の作用との相乗効果で骨粗しょう症の予防も期待できます。また、ネギ系食材(ニンニク、ネギ、玉ねぎ)の「硫化アリル」と「ナットウキナーゼ」のダブル効果は、血液サラサラにつながると考えられます。さらに、納豆に含まれる抗老化成分といわれる「ポリアミン」は、肌の新陳代謝を促す効果が期待できますので、同様の効果が期待できるビタミン類を含んだ食材とあわせることもおすすめです。

納豆イメージ

私自身は、納豆に葉ねぎを入れたシンプルな食べ方が好きです。エクストラバージンオリーブオイルをかける食べ方も気に入っています。最近は、あまりかき混ぜず、少し冷めたもち麦ご飯にかけて夕食に食べています。食欲の秋といわれるこれからの季節、ぜひ、多くの方々に納豆パワーをとり入れていただきたいですね。

「ナットウキナーゼ」を発見した須見先生に聞く、発見秘話!

私がナットウキナーゼを発見できたのは、偶然でした。私の専門は元々「血液生理学」で、2年間、シカゴ大学のマイケルリース研究所で「血栓」と「血栓を溶かす酵素」について研究をしていました。血栓とは脳梗塞や心筋梗塞といった生命を脅かす血栓症の原因となるものです。

須見先生イメージ

ある日の朝、なんだか無性に納豆が恋しくなり、納豆をグルグルかき混ぜながら、ネバネバの糸引きを見たその時に、ふと「そうだ!この納豆で血栓を溶かす実験をしてみよう!」と思いついたのです。血栓はタンパク質を主成分につくられるので、「同じタンパク質成分の大豆からできている納豆なら血栓のタンパク質も溶かすのではないか?」と思いました。そして、実験は大成功。私はその酵素に「ナットウキナーゼ」と命名しました。

実験を重ねた結果、ナットウキナーゼは比類ない血栓溶解作用を持つことがわかりました。しかも、単に血栓を溶かす作用が強いだけではなく、その効果の持続力もありました。例えば、心筋梗塞の治療に使われる一般的な薬の場合、血栓を溶かす持続時間は4~20分程度。一方で、ナットウキナーゼは、8~12時間も作用するのです。血栓ができやすいと言われる睡眠中に効果を持続させるために、夜に食べるのも良いと思います。血管中の血栓が溶ければ血液はサラサラになり、全身の血行が良くなるので、高血圧の予防改善にも効果が期待できます。

ナットウキナーゼの血栓溶解作用は強く、さらに持続する
須見洋行先生
須見洋行先生
倉敷芸術科学大学
名誉教授、医学博士

1974年徳島大学医学部大学院修了。血栓溶解に働くナットウキナーゼの発見者であり、納豆の血液凝固線溶研究の第一人者。 発酵食品が持つ機能性、特に血の巡りに関する研究を行っている。“納豆博士”として講演、テレビ、ラジオ、新聞などでも活躍。

※肩書は取材当時のものです